整形外科
Orthopedics surgery


当科では、関節外科、外傷外科の手術療法を中心に、股関節、膝関節、上肢・下肢骨折など多岐にわたる疾患を診療しております。
高齢者に多い脆弱性骨折は合併症を有することがほとんどで、生活習慣病や内科的疾患の治療、骨粗鬆症治療、理学療法など、多職種が連携して早期手術と術後のケアにあたっています。
人工関節置換術においては、適応する患者さんに対して、早期の社会復帰を可能にする最小侵襲手術や多角的疼痛管理(multimodal pain control)による痛みの少ない手術に力を入れて行っております。
人工関節置換術(合計) 310関節
【内訳】 人工股関節置換術(THA) 154関節
人工膝関節全置換術(TKA) 126関節
人工膝関節単顆置換術(UKA) 30関節
骨折観血的手術(下肢) 136件
骨折観血的手術(上肢) 51件
人工骨頭挿入術(股) 47件
人工関節置換術(合計) 255関節
【内訳】 人工股関節置換術(THA) 135関節
人工膝関節全置換術(TKA) 93関節
人工膝関節単顆置換術(UKA) 27関節
骨折観血的手術(下肢) 123件
骨折観血的手術(上肢) 61件
人工骨頭挿入術(股) 34件

変形性股関節症、変形性膝関節症、股関節骨頭壊死、肩腱板断裂、上肢骨折、下肢骨折など
変形性股関節症
股関節とは?
股関節は 体幹と下肢をつなぐ大きな関節で、単体では人体最大の関節です。体幹と下肢をつなぐ要の関節であり様々な日常生活を行う上で大変重要な関節といえます。股関節の構造は受け皿である骨盤側の寛骨臼(臼蓋)と、球状の大腿骨頭から構成されそれぞれの表面が、関節軟骨に覆われていて股関節の動きを自由に滑らかにしています。さらに寛骨臼の周囲には関節唇と呼ばれる柔らかいパッキンのような役割をする軟骨が存在し、関節の中は陰圧(吸いついている状態)に保たれています。以上のような解剖学的な構造により、正常な股関節は大変安定した状態を保っています。


変形性股関節症とは?
変形性股関節症とは様々な原因によって関節軟骨が変性、消失し、強い痛みや機能障害を起こす状態の総称といえます。日本人の多くは発育性股関節形成不全による寛骨臼の発育障害によって続発するものが原因の80%を占めているといわれています。正常であれば非常に安定した関節である股関節が、寛骨臼が浅いことによって股関節の不安定性が生じてきます。それによって、軟骨が徐々に変性、消失していくことが大きな原因です。

変形性股関節症(形成不全性股関節症)は進行性の病気であり、寛骨臼形成不全だけがある「前期」、関節軟骨が部分的に傷ついている「初期」、関節軟骨が一部消失して骨と骨が接触し始める「進行期」、関節軟骨がほとんど消失して、骨の変形が著しい「末期」と進んでいきます。


治療法は?
各種保存療法(鎮痛薬、リハビリ,体重コントロールなど)を行っても疼痛の改善がない場合は手術的加療を行います。特に形成不全の程度が強い人はほとんどの方が最終的には手術的治療が必要になってきます。
若年齢(20-40歳代)で比較的初期の状態であれば寛骨臼回転骨切り術といって骨盤をくりぬいて寛骨臼のかぶりを深くする骨切り手術を行うのが一般的です。この手術は初期の状態で若いうちに行えば行うほどその治療成績が良いといえます。40-50歳代以降で病期が進行してくると手術成績も不安定となり、人工股関節置換術の適応となってきます。

人工股関節置換術 ( Total Hip Arthroplasty : THA )について
THAは1960年代ころより急速に世界的に行われるようになってきており、現在では国内でも年間約5-6万件の手術が行われるようになってきました。使用されるインプラントの材質や手術手技の進歩により整形外科領域の手術の中でも最も成功した手術のひとつといえます。THAは関節由来の疼痛を劇的に改善させ、またある程度の脚長補正も可能で、大きな福音を患者さんにもたらすことが可能です。
THAの合併症は脱臼、ゆるみ、感染があります。以前は人工関節のゆるみ(軟骨の代わりをする高分子ポリエチレンの摩耗によって引き起こされる人工関節周囲の骨溶解によって生じる)が大きな問題でしたが、材質の進歩によってかなりの長期耐用性が期待されています。しかし長期耐用性が見込まれるようになってくると比較的活動性の高い若年者や関節可動域の良い患者さんたちにも行われるようになり近年では術後の脱臼が一番の合併症となってきています。
現在では脱臼しにくい手術方法や、早期の社会復帰を可能にする最小侵襲手技(筋間侵入前方系アプローチ)への取り組みが盛んに行われるようになってきました。当院でも適応となる患者さんに対して積極的に行っております。
変形性膝関節症について
関節の表面を覆っている関節軟骨が様々な原因で徐々にすり減り、関節に炎症が起こります。原因には複数の因子が関与しますが、年齢、性別、体質、骨密度、肥満、ホルモンなどが影響するとされています。すり減った軟骨や骨の細片が刺激となり滑膜炎が生じ、水がたまることもあります。中高年(50才以上)に多く、こわばり感から始まり、徐々に正座、しゃがみ込み、階段昇降、動作開始時痛などから始まり進行すれば安静時に痛みが出たり、膝を完全に伸ばすことが困難となってきます。また進行すると多くの場合、外観上はO脚変形が明瞭となります。
各種保存治療(鎮痛剤、ヒアルロン酸関節注射 リハビリなど)で効果が乏しい患者さんで、関節症が中、末期の方は、外科的治療を検討します。

 当院ではこのような患者さんには主に人工膝関節置換術(TKAおよびUKA)を中心に行っております。
<人工膝関節置換術の概略> 人工関節置換術とは、変形性膝関節症や関節リウマチによって変形した関節の表面を取り除いて、人工関節部品(インプラント)に置き換える手術です。人工膝関節は、生体材料(体内に入れて問題ないもの)であるチタン合金、超高分子ポリエチレン(樹脂製のプラスチック)などで作られています。

上の骨(大腿骨)、下の骨(脛骨)に金属製の人工関節部品をはめ込み、金属と金属の間には超高分子ポリエチレンを挿入して膝が滑らかに動くようにします。膝蓋骨(お皿の骨)の関節表面にも超高分子ポリエチレンを必要に応じはめ込みます。手術は傷んだ関節軟骨を表面から1cmほど削り上の骨(大腿骨)、下の骨(脛骨)に人工関節部品をはめ込みます。骨とインプラントの固定性を強固にするために必要に応じ骨セメントで固定します。

また手術前の関節の状態に応じて、膝関節内の各種靭帯(十字靭帯)が温存され、侵襲の少ない関節の内側のみを置換する単関節置換術(UKA)、すべてを置換する全置換術(TKA)を適宜選択し治療にあたっています。手術時間は1時間-1時間半程度です。手術直後の痛みを緩和する目的で大腿神経ブロック注射や、術中のカクテル注射なども併用しております。
関節鏡下手術について
肩腱板断裂
腱板とは上腕骨頭を取り囲むように覆っている腱で、肩甲下筋・棘上筋・棘下筋・小円筋のそれぞれ4本の筋肉の腱で構成されており、これが切れるのが腱板断裂です。
肩関節は肩甲骨関節窩というお皿に上腕骨頭がバランスを保って乗っているような状態で、腱板断裂が生じバランスが崩れることで症状が出現します。一般的に腱板断裂は約2/3は無症状であり、症状がなければ手術対象にはなりません。ただし、夜間痛や筋力低下、引っ掛かりや挙上困難などの症状があった場合、年齢や断裂の状態などを検討し、内服や外用、注射などでも症状の改善がない方には全身麻酔下に関節鏡を用いた鏡視下腱板修復術を行っています。
手術は約1cm程度の小さい切開を5~6か所ほど使用し、内視鏡で肩関節内を確認しアンカーという杭を使って断裂した腱を縫合修復します。



術後は肩外転装具を約4~6週間装着し、リハビリテーションにて可動域訓練などを行っていきます。腱の回復は時間を要し、通常の日常生活復帰の目安は術後約2か月半程度で、手術した肩を使用した重たいものを持つなどの重労働復帰は術後約半年の期間を要します。




肩関節周囲炎・拘縮
肩腱板断裂以外に肩の痛みが生じる疾患として肩関節周囲炎・拘縮があります。これはいわゆる四十・五十肩と言われる疾患で、症状が強くなると著明な可動域制限や強い夜間痛などが生じます。 鎮痛剤や外用、ストレッチなどで経過をみることが多いですが、夜間痛が強い方は、定期的に関節内注射をしばらく行うことで症状の改善を図ります。
症状の改善が乏しい方は、ブロック注射下に徒手的授動術や、希望される方には全身麻酔下に鏡視下授動術を行っています。

肩腱板断裂や肩関節周囲炎・拘縮、また他にも肩の痛みが出現する原因があります。 腱板断裂で生じた断裂は元に戻ることはありません。断裂のサイズは徐々に大きくなっていく可能性があります。肩の痛みが持続する場合は、早めの受診をお勧めします。
腰部脊柱管狭窄症
腰痛は日本人の国民病ともいえるものですが、その主な原因として「腰部脊柱管狭窄症」という疾患があります。腰痛はもとより、歩行時の足のしびれや痛みを伴うこともあり、みなさんの生活の質(QOL)を著しく障害する病気です。馬尾神経という腰部や下肢の筋肉や感覚を支配している神経が、加齢により変性した椎間板や骨棘によって圧迫を受けることで、神経が酸欠状態となり、上記のような様々な症状を呈します。 この病気の治療は保存治療と外科治療に大きく分けられています。 保存治療はリハビリなどによって歩行時の姿勢を矯正したり体幹や下肢の筋力を向上させることで症状の緩和を目指したり、症状を緩和させる様々な種類の鎮痛剤を内服したりします。 保存治療が効果を示さない患者様の場合は、外科治療の適応になります。外科治療には、大きく分けて除圧術と固定術がありますが、当院ではいずれの手術も内視鏡を使用した超低侵襲治療を行っています。

「内視鏡椎弓切除、内視鏡椎体間固定」について
従来の脊椎手術の場合、除圧術では2週~3週間程度、固定術では1か月~2か月の入院が必要とされていました。当院で施行している内視鏡椎弓切除(除圧術)では、最短術後2日目で退院が可能で、内視鏡椎体間固定術(固定術)では、最短術後4日目に退院可能です。 歩行時に強い腰痛があったり、下肢のしびれや痛みで長く歩けないなどの症状があられる方は一度受診されることをお勧めします。





頸椎疾患・頸椎内視鏡手術について
以下のリンクに特集されていますので興味のある方はご覧ください。
せぼねお悩みドットコム
臨床研究に関する情報公開について(オプトアウト)
通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施します。
臨床研究のうち、患者さんへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、
国が定めた指針に基づき対象患者さんから直接同意を取得する代わりに、研究の目的を含めて情報を公開し、更に拒否の機会を保証する方法があり、
このような手法を「オプトアウト」と言います。オプトアウトを用いた臨床研究は、下記のとおりです。なお、研究への協力を希望されない場合は、
概要に記載されている担当者までお知らせください。研究不参加を申し出られた場合でも、何ら不利益を受けることはありません。

■整形外科(研究名と概要)
日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)構築に関する研究

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  • 穗積 晃
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【休診日】第2、第4土・日・祝及び12/30~1/3(※緊急患者は24時間診療いたします。) 疾病や治療法についてのお問い合わせは、お電話ではお答えできかねますので
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