【虹彩Vol.37 Web版ページ】ドクターのお話
糖尿病と低血糖

教えて!ドクター
糖尿病と低血糖
現在、日本は長寿大国となり、人生100年時代と言われています。
その日本の中で、現代の国民病ともいわれている疾患が糖尿病です。厚生労働省の2016年国民健康・栄養調査によると、予備群まで含めると約2000万人の糖尿病罹患者がいると推測されています。合併症を引き起こす可能性もある糖尿病の予防や治療について、糖尿病内科医の福島徹也先生にお聞きしました。
福島 徹也 糖尿病内科医

Fukushima Tetsuya

糖尿病は「万病のもと」
糖尿病は「万病のもと」と言われ、血液中の糖濃度(血糖値)が高い状態が長年続くことで、心筋梗塞、脳梗塞、網膜症など様々な疾患の原因になることが分かっています。
この様な疾患を起こさない、進行させないために糖尿病の治療が必要になるのです。
糖尿病治療における目標値
外来における糖尿病の良し悪しの目安になる検査値がHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)です。血液検査で分かりますが、2~3か月間の血糖値の平均を反映する検査です。
年齢や治療内容で目標値は変わってきますが、糖尿病の患者さんは7.0%を一つの目標として、普段の糖尿病治療に臨んでいます。
しかし、ここで問題が出てきます。HbA1cが7%以下になると、血糖値が下がりすぎて低血糖になる危険性が増してしまうということです。ただ、どの患者さんも低血糖になるわけではありません。正しく、低血糖を恐れる必要があります。
血糖値が下がる要因
低血糖を起こす危険性が高いのは、おもにインスリン、スルホニルウレア剤、速攻型インスリン分泌促進剤を使用している方です。
現在、お薬を服用している患者さんは、ご自身が使用している薬剤を確認して、低血糖を起こす可能性があるのかどうか、ぜひ確認をしてみてください。
低血糖を起こす可能性が少ない薬剤の場合は、空腹を感じていても低血糖ではありませんので、補食などをする必要はありません。
重症低血糖の危険性
では、なぜ低血糖に注意する必要があるのでしょうか。
それは、重症低血糖を起こすことで、認知症や転倒骨折、虚血性心疾患や不整脈など様々な合併症を引き起こす可能性が高くなるからです。
以前は、糖尿病は血糖を下げて、HbA1cを下げることが大切と言われていました。しかし、あくまでも低血糖を起こさないで血糖を下げることが重要になります。
現在は、HbA1cの目標値も細分化されています。年齢や治療内容で目標値は変わってきますので、主治医に確認しましょう。
おわりに
糖尿病の治療は、食事のことを考えたり、運動をしましょうと言われたりと、面白くないと思われるかもしれません。ただ、糖尿病の治療は苦行ではないことを知っておいて下さい。
食事も制限食ではなく、健康食なのです。運動も、元気で長生きするためにするものです。運動は、認知症予防、癌予防、心筋梗塞・脳梗塞予防につながります。
なるべく動ける体を維持して、美味しいものが食べられるように、糖尿病と上手に付き合っていきましょう。
ドクター紹介

糖尿病内科医

福島 徹也
Fukushima Tetsuya
糖尿病治療は、食事や運動などの日常生活の注意点を正しく理解し、自己管理できるようになることが大切です。 糖尿病について疑問に思うことがありましたらお気軽にご相談ください。
お電話でのお問い合わせ
【休診日】第2、第4土・日・祝及び12/30~1/3(※緊急患者は24時間診療いたします。) 疾病や治療法についてのお問い合わせは、お電話ではお答えできかねますので
ご来院の上、担当医に直接お問い合わせください。