【虹彩Vol.26 Web版ページ】ドクターのお話
たばことPM2.5

教えて!ドクター
たばことPM2.5
最近、テレビやラジオでPM2.5に関する報道を見かけることが多くなりました。
皆さんは、PM2.5が大陸から大気にのって運ばれてくるものだと思われているかもしれませんが、実はそれだけではありません。
日本国内で現在発生しているPM2.5による空気汚染。私たちの身近にも存在する発生源とは?
呼吸器内科の髙谷洋先生にお話を伺いました。
髙谷 洋 呼吸器内科医師

Takatani Hiroshi

様々な病気を
引き起こすPM2.5
PM2.5とは
そもそもPM2.5とは、空気中に含まれる直径が2.5µm以下の微小粒子のことです。(1µm=1mmの1000分の1)
非常に小さいため、肺の奥深くまで入り、様々な病気を引き起こします。米国での調査によると、PM2.5が10μg /㎡増えると、心臓や肺の病気での死亡率が9%、肺がん死亡率が14%、全死亡率が6%増えることが明らかとなっています。
PM2.5の発生源
PM2.5は、工場や一般家庭、交通機関で化石燃料を使用することで発生します。意外と知られていませんが、実は、たばこの煙にも多くのPM2.5が含まれています。
受動喫煙によるリスク
たばことPM2.5
国内における大気汚染
日本でも高度経済成長を続けていた一九七〇年代には、大都市での大気汚染が大きな社会問題となっていました。当時の浮遊粉塵濃度をPM2.5に換算すると、現在の中国国内と同レベルの汚染状況であったと言われています。
新たな問題となっている屋内の空気汚染
住民の健康に甚大な影響を及ぼした大気汚染は、その後の国を挙げての総合的な公害対策で大きく改善され、国内における大気汚染は減少し、問題は解決したかのように思われました。
しかし、現在、屋内におけるPM2.5による空気汚染が新たな問題となっているのです。そうです、原因はたばこの煙に含まれるPM2.5です。
飲食店やサービス業店における「分煙」の効果は?
以下に、禁煙でない飲食店やサービス業の店内のPM2.5の値を示しています。色分けした棒グラフは、アメリカ環境保護庁によ る空気の質レベルを示しています。
棒グラフの1番下の黄緑色はPM2.5が15µm/㎡以下の「良好」レベルを示しています。グラフの上にいくほどPM2.5の値が高くなり、空気の質が悪くなっていることを表しています。
※全面禁煙の店舗以外は、ほとんど全てでPM2.5が100µm/㎡を超えており、自由喫煙の居酒屋などは、北京の最悪汚染時に匹敵するレベルとなっています。
屋内環境の向上のために
日本では屋外の空気がだいぶきれいになったのに、生活の大半の時間を過ごす屋内では、たばこの煙で汚された大変危険な空気を吸っているのです。
遠くの国からやってくるPM2.5のことも気になりますが、毎日の大半を過ごす屋内でのPM2.5を無くすにはどうすれば良いか、皆さんもうお分かりですね。
ドクター紹介

内科(呼吸器内科)

髙谷 洋
Takatani Hiroshi
呼吸器内科医として平成28年4月より当院に勤務
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